薬剤師のミスで落ち込んだ夜に。インスリン規格違いをやった私が立ち直るまで【体験談】

薬剤師転職

調剤ミスをした日の夜って、本当に長いですよね。

布団に入っても、薬を取り違えた瞬間のことを何度も何度も思い返してしまう。「なんであのとき確認しなかったんだろう」「明日、薬局に行くのが怖い」——。

この記事を開いたあなたは、たぶん今日か最近、ミスをして落ち込んでいる薬剤師さんだと思います。

先に言わせてください。ミスをして落ち込めるのは、あなたが真面目に仕事と向き合っている証拠です。

私は薬剤師歴20年以上、転職4回でいろいろな職場を経験してきました。この記事では、私自身の「忘れられないミス」と、そこからどう立ち直ったか、そして職場によってミスへの向き合い方がどれだけ違うかを、正直に書きます。

私の忘れられないミス——インスリンの規格違い

まず、私の話をします。

いちばん記憶に残っているのは、注射薬の規格違い。インスリンでした。発覚したときは「やばい」と血の気が引いて、大げさではなく「死にたい」とまで思いました。幸い、患者さんへの影響はありませんでした。

インスリンは規格を間違えれば低血糖を起こしかねない、絶対に間違えてはいけない薬です。それを間違えた。影響がなかったのは結果論で、「もし患者さんに何かあったら」と考えると、あのときの感覚は今思い出しても胃が縮みます。

「死にたい気持ち」と書くと大げさに聞こえるかもしれません。でも、同じ経験をした薬剤師なら分かるはずです。患者さんの命を預かる仕事でミスをしたとき、頭に浮かぶのはそのくらい重い言葉なんです。

だからもし今、あなたが同じくらい沈んでいるなら——その重さは、おかしくありません。私も同じでした。

どうやって立ち直ったか——正直に言うと「時間」でした

立ち直り方を検索すると、「気持ちを切り替えるコツ」とか「ミスを成長に変える方法」とか、前向きなノウハウがたくさん出てきます。

でも私の正直な答えはこれです。

どうやって立ち直ったかと聞かれると——時間が解決しました。それ以外にないです。

がっかりさせたらごめんなさい。でも20年以上この仕事をしてきて、これが一番の真実だと思っています。

ミスをした直後は、何を考えてもあの瞬間に戻ってしまう。同僚に「気にしないで」と言われても気にするし、反省ノートを書いても気持ちは晴れない。それでも、1週間経つと思い出す回数が減って、1ヶ月経つと「あのミスがあったから確認の手が止まるようになった」と思える日が来ます。

だから、今日のあなたに必要なのは、完璧な再発防止策を今夜中に考えることではありません。ごはんを食べて、お風呂に入って、寝ることです。反省は、気持ちが落ち着いてからのほうがずっと建設的にできます。

同じミスでも、職場によって「その後」がまるで違う

転職4回でいろいろな職場を見てきて、はっきり言えることがあります。ミスをした後の落ち込み方は、本人の性格より「職場」で決まるということです。

犯人探しをする職場にいたとき

ある職場では、ミスが起きるたびに上司が「犯人探し」をしていました。誰がやったのかを突き止めて、責める。そういう職場でした。

犯人探しの職場では、ミスのたびにスタッフ全員が萎縮します。萎縮すると、報告が遅れる。ヒヤリハットが共有されない。結果、同じミスが繰り返される。「ミスを責める職場ほどミスが減らない」というのは、現場にいた実感です。

そして何より、この職場でミスをしたときの落ち込みは、回復までの時間が段違いに長かった。ミスそのものより、「明日どんな目で見られるか」のほうがつらいんです。

フォローしてくれる上司がいた職場

逆に、優しい上司が積極的にフォローしてくれる職場もありました。同じようにミスをしても、立ち直りの早さがまったく違いました。

ミスの報告をしたとき、最初に出てくる言葉が「で、患者さんは大丈夫?」と「あなたは大丈夫?」の職場。原因の振り返りはするけれど、人を責めない。こういう職場では、ミスは「個人の失敗」ではなく「仕組みの穴」として扱われます。

同じ私が、同じようにミスをしても、職場が違うだけで「死にたい夜」になるか「反省して次に活かせる経験」になるかが分かれる。これが20年働いてきた私の結論です。

「ミスを防ぐ仕組み」の現実も書いておきます

正直なところ、ミスを防ぐ仕組みやルールは、どの職場でも最初だけしか機能しませんでした。時間が経つと、だんだん「なぁなぁ」になっていくんです。

ダブルチェック、指差し確認、ヒヤリハット共有——導入直後はみんな真剣にやるのに、忙しい日が続くと形骸化していく。これはどの職場でも見た光景です。

だからこそ、「立派な仕組みがあるか」より「ミスを責めない文化があるか」のほうが、よほど大事だと私は思っています。仕組みは風化しますが、文化は毎日の空気として残り続けるからです。

落ち込みが続くなら、「自分」ではなく「環境」を疑っていい

ミスをして落ち込む。それ自体は、真面目な薬剤師なら誰にでもあることです。

でも、もしあなたが——

  • ミスのたびに犯人探しをされて、何日も萎縮が抜けない
  • 人手不足で監査が形だけになっていて、「いつかやらかす」と毎日ヒヤヒヤしている
  • ミスの後のフォローが何もなく、一人で抱え込むしかない

——こういう状態が続いているなら、それはあなたの注意力の問題ではなく、環境の問題かもしれません。

私自身、職場を変えただけで「ミスへの恐怖感」が大きく変わった経験をしています。同じ自分なのに、です。萎縮しながら働く毎日は、ミスを減らすどころか増やします。そして何より、あなたの心がすり減ります。

今すぐ職場を変える決断をする必要はありません。ただ、「ミスを責めない職場が世の中にはある」と知っておくだけでも、心の逃げ道になります。薬剤師専門のエージェントに「ミスのフォロー体制がしっかりした職場はありますか」と聞いてみるだけでも、視野は広がります。情報を持っておくことは、今の職場で頑張る場合にも支えになりますから。

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まとめ:今日のところは、もう寝ましょう

最後にまとめます。

  • ミスをして落ち込めるのは、真面目に仕事と向き合っている証拠
  • インスリンの規格違いをやった私でも、立ち直れた。特効薬は「時間」
  • 落ち込みの深さと長さは、性格より職場で決まる。犯人探しの職場と、フォローのある職場では回復がまるで違う
  • 仕組みは形骸化する。大事なのは「ミスを責めない文化」
  • 萎縮が続くなら、自分ではなく環境を疑っていい

あの夜「死にたい」とまで思った私が、今もこうして薬剤師を続けて、こんな記事を書いています。あなたも大丈夫です。

今日のところは、反省会はおしまい。あたたかいものでも飲んで、寝てください。おつかれさまでした。

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