13年勤めた職場をパワハラで辞めた話

体験談・リアルな話

13年勤めた職場を辞めた日のことは、今でもよく覚えています。

退職願を出したとき、手が少し震えていました。長い年月をかけて築いてきた人間関係、慣れ親しんだ業務フロー、顔なじみの患者さんたち。それらすべてを手放すことへの怖さがありました。でも同時に、「もうここには戻れない」という確信もありました。

私は転職を4回経験した薬剤師です。新卒から数えると、大手調剤薬局、地方派遣、中規模調剤薬局、そして13年間在籍した個人調剤薬局と、複数の職場を渡り歩いてきました。現在は都内で週1回の訪問薬剤師のアルバイトをしながら、薬剤師キャリアについての情報を発信しています。

この記事では、私が13年間勤めた職場をなぜ辞めたのか、その核心にあったパワハラの実態と、転職を決意するまでの葛藤を正直にお話しします。「もしかして自分もそろそろ限界かも」と感じている薬剤師の方に、少しでも参考になれば嬉しいです。


この記事でわかること

  • 13年勤務の薬剤師がパワハラで辞めた実体験
  • 「転職すべきサイン」5つのチェックポイント
  • 転職後に気づいた「我慢しすぎていた」こと
  • 転職を迷っている薬剤師への具体的なアクション

13年間、それなりに好きだった職場だった

辞めた職場に13年間いたのには、それなりの理由があります。雰囲気が安定していて、患者さんとの関係も深く、仕事そのものには充実感がありました。ベテランスタッフも多く、技術的な面でも学べることがたくさんありました。

比べて思い出すのが、その前に在籍していた中規模薬局です。あの職場は本当によかった。同年代のスタッフが多くて、仕事終わりに飲みに行ったり、休日に遊んだり、和気藹々とした雰囲気で毎日が楽しかった。仕事が大変な時期でも「みんないるから頑張れる」という感覚があったんです。

中規模薬局を離れたのは個人的な事情があってのことで、今でも「あそこは本当にいい職場だったな」と懐かしく思います。だからこそ、次の職場に長く腰を落ち着けようと決めて入ったのが、13年在籍することになった個人経営の調剤薬局でした。


ある日、職場の空気が一変した

変化は突然やってきました。

ある上司が異動で管理職として就任してきたのです。それまでの職場の空気とはまったく異なる、威圧的な雰囲気を持った人でした。最初は「まあ、スタイルの違いだろう」と思っていました。でも、徐々にそうではないことがわかってきました。

その上司は、特定のスタッフに対して明らかに態度が違いました。些細なミスを人前で大声で叱責する、仕事の割り振りが明らかに不公平、会議中に特定の人の発言を無視する……。見ていて胸が痛くなる場面が、週に何度もありました。

直接自分がターゲットになっていたわけではありません。でも、同僚がいじめられているのを目の当たりにすることが、じわじわと自分を蝕んでいきました。「次は自分かもしれない」という恐怖。「見て見ぬふりをしている自分」への嫌悪感。出勤前になると、胃がキリキリと痛むようになりました。

朝、起きて出発しようとすると吐き気が気が襲ってきた日があります。「今日もあの上司がいる」と思うだけで体が動かなかった。そのとき初めて、「ああ、私はもう限界なんだ」と気づきました。


でも、辞める決断はとても怖かった

「辞めよう」と思い始めてから、実際に退職願を出すまで、半年かかりました。

13年いた職場です。愛着がありました。患者さんの顔も、スタッフの顔も浮かびました。「私が辞めたら、あの患者さんはどうなるんだろう」という罪悪感もありました。

それに、薬剤師とはいえ、転職市場への不安もありました。40代を前にして、次の職場が見つかるのだろうか。年収は下がらないだろうか。人間関係はうまくいくだろうか。考えれば考えるほど、動けなくなりました。

でも、胃痛は悪化するばかりでした。休日も「明日は仕事か」と思うだけで気分が沈む。家族にも「最近元気がないね」と言われるようになりました。そこでようやく、「このまま我慢し続けることの方が、ずっと怖い」と思えるようになったのです。


転職を考えるべき5つのサイン

私自身の経験から、「これを感じたら転職を真剣に考えるべきだ」というサインを5つ挙げます。

サイン1:出勤前に体の不調が出る

胃痛、頭痛、吐き気、動悸……。仕事に行く前から体が拒否反応を示しているのは、明らかなSOSサインです。私の場合は胃痛でしたが、これは「つらい」という感情より先に体が悲鳴を上げているということです。体のサインを無視し続けると、メンタルの問題に発展することもあります。

サイン2:休日に仕事のことが頭から離れない

健全な職場であれば、仕事とプライベートのスイッチは切り替えられます。でも、「明日の朝あの上司に何か言われたらどうしよう」「あのミスを引きずられていたらどうしよう」と休日も頭の中が仕事モードのままなら、それは職場環境が心の安全を脅かしているサインです。

サイン3:同僚のいじめや不当扱いを見ている

自分が直接被害を受けていなくても、職場内で誰かがひどい扱いをされているのを日常的に目撃するのは、精神的に大きなダメージを与えます。「次は自分かもしれない」という恐怖と、「見て見ぬふりをしている罪悪感」が複合的に積み重なります。これは見過ごせないサインです。

サイン4:成長している実感がまったくない

薬剤師は専門職です。スキルや知識が磨かれていく感覚は、仕事のモチベーションに直結します。「この職場にいても何も成長できていない」「毎日同じことを繰り返すだけ」という感覚が続くなら、キャリアという観点からも転職を考える価値があります。

サイン5:「辞めたい」が口癖になっている

誰でも「今日は疲れた、もう嫌だ」と思う日はあります。でも、それが毎日、本気の感情として出てくるようになったら要注意です。口癖になった「辞めたい」は、心の深いところからのメッセージです。「またぼやいてるだけ」と自分で笑い飛ばせなくなったら、真剣に向き合うタイミングです。


転職後に気づいた「我慢しすぎていた」こと

転職して初めて、どれだけ自分が消耗していたかがわかりました。

新しい環境に移ったとき、まず驚いたのは「体が軽い」という感覚です。出勤前に胃が痛くならない。当たり前のことがこんなに嬉しいとは思いませんでした。

現在は訪問薬剤師として週1回、精神疾患を抱える患者さんのご自宅にお薬をお届けする仕事をしています。時給は4500円で、都内でのアルバイトです。患者さんと一対一で向き合う時間が持て、薬剤師として「この人の役に立っている」という実感が直接得られることがとても好きです。

13年分の「慣れ」や「諦め」が、知らないうちに自分の感覚を麻痺させていたんだなと、今は思います。もっと早く動けばよかったと思う反面、あの経験があったからこそ「いい職場」の価値がわかるとも感じています。


転職を迷っている薬剤師へ:まず小さな一歩を

「転職したい気持ちはあるけど、なかなか動けない」という方に、私からお伝えしたいことがあります。

転職活動を始めることと、転職することは別です。まず情報を集めるだけでいい。求人を見るだけでいい。それだけで「自分には選択肢がある」という感覚が生まれ、今の職場でのストレスが少し和らぐことがあります。

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まとめ

13年間在籍した職場を辞めた理由は、パワハラ上司による職場環境の悪化でした。直接の被害者ではなくても、同僚が傷つけられる場面を毎日見続けることで、自分自身も限界に追い込まれていました。

転職の決断はとても怖かった。でも、体が悲鳴を上げていたことが、最後の背中を押してくれました。

もし今、「なんとなく職場がつらい」「毎朝出勤が憂鬱」と感じているなら、それはサインかもしれません。我慢し続けることが美徳ではありません。薬剤師は転職市場での需要が高い職種です。動くタイミングを見極めて、自分のキャリアと健康を守る選択をしてほしいと思います。

あなたの「いい職場」は、きっとどこかにあります。


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この記事は転職経験をもとにした個人の見解です。転職の判断はご自身の状況に合わせて慎重にご検討ください。

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